かゆみ
皮膚トラブルのなかでも最もやっかいな症状のひとつにかゆみがあります。
かゆみは、皮膚に付着した異物を除去するために「掻く」という行動を起こさせる生体反応といわれていますが、「掻く」という行為は皮膚科的にはNGな行動です。
かゆいところを掻くことにより、爽快感を得られるので一時的に落ち着いたように感じます。ほんの一瞬、ひと掻き程度ですむようならNGとまでは言いません。ひと掻きしたことにより快感を得られると、さらに快感が欲しくなり、もっともっと搔きたくなります。
思いのままに皮膚を掻いてしまうと、
かゆい→掻く→皮膚が傷つく→皮膚のバリア機能を壊す→肌が過敏になる→炎症が起き悪化する→強いかゆみ→さらに掻く→さらに傷、、、
という悪循環が生まれ、このサイクルから離脱するのに苦労します。
≪かゆみがつらい皮膚の病気≫
◇じんましん
かゆみを伴なう赤みやふくらみが出たり消えたりを繰り返す。原因不明のことがほとんど。6週間未満で出なくなる急性じんましんとそれ以上に渡る慢性じんましんがある。
◇痒疹(ようしん)
虫刺されのようなボツボツしたもりあがりがいくつもできる。何らかの刺激に対する炎症反応が原因と考えられている。一時的なものと、いつまでも治らず硬いイボ状になるものもある。夜間眠れないほどの強いかゆみが特徴。
◇皮膚掻痒(そうよう)症
見ためは明らかな皮疹がないにもかかわらず強いかゆみがある。内科的な疾患が原因のことがある。乾燥肌を伴なうことが多い。掻くことにより皮膚症状(湿疹、皮膚の厚みや硬化、色素沈着)が出る。
≪予防と治療≫
①掻かない・・・掻き始めると止まらなくなります。悪循環のはじまりです。最初が肝心です。
②冷やす・・・保冷剤などをハンカチなどでくるんで患部にあててください。冷却シートなどを貼りつけるのは刺激になるのでやめましょう。
③スキンケア・・・保湿ケアを習慣にして、皮膚のバリア機能の低下を防ぎましょう。皮膚が乾燥しているとかゆみを感じやすくなります。また、紫外線予防も大切です。
④衣類や室温の調整・・・体が温まるとかゆみが増します。また、衣類に含まれる化学繊維がチクチク刺激になったり、ゴムの締めつけ感や縫い目によってかゆみを感じることもあります。汗の刺激もかゆみの原因になりえますので気温の変化に合わせて調節を。
⑤入浴方法・・・熱すぎない40℃以下で温まる、体のゴシゴシ洗いはしない、しっかり泡立てた石けんやボディソープの泡を使って、なでるように手で洗いましょう。体が温まるとかゆみは増すので長湯は控えましょう。 ⑥我慢できないかゆみやおさまらないじんましん、湿疹などの症状がしっかりあるときは、かゆみ止めの飲み薬や塗り薬を使って早めに治療を始めることで症状をこじらせずに済みますので、いつでもご相談ください。